友よ
私の声が聞こえるか
目玉を刳り抜き
耳を切り落とし
鼻を潰せ
そして歯を砕き
拳を喉に押し込めろ
肛門に頭を突き刺せ
不自由な躰を脱ぎ捨てろ
友よ
私の姿が見えるか
上もない
下もない
右も左もない
前も後ろもない
外も内もない
友よ
私の振動に触れなさい
腺毛を逆立てよ
風を聴け
熱を浴びろ
そして水に流れるのだ
友よ来たれ
磁場は整った
大きく揺れるのだ
広く波打つのだ
遮るものは無い
ほら、浮いた
さあ、私を飲み込みなさい。
ーー
※補足
友とは、親友とか、気のおけない仲間とか、そういういわゆる親しい距離にある者ではなく、たとえ通りすがりの者であっても、核心に一言を投げる隣人のことを言う。友とはそういうもの。