バトンプロジェクト:二坪の眼
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[494]複眼に聞く
by aoki@dwks 
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[2019/06/08(土) 23:32:42]
真夜中の公園に来ています。外灯の下、ベンチに座っています。

真夜中の公園は、ベンチに座ると外灯が灯るようです。外灯はベンチを照らしているのではなく、人を照らしているようです。自動点灯のスポット照明ですね。それはあたかもパーソナルスペースを明示しているようでもあります。

そんな灯りが、真夜中の公園には点在しています。そこに人影は見えません。きっと光に包まれているのでしょう。いくつかの灯りが消え、いくつかの灯りが点く。ベンチに座る人、ベンチを立ち去る人。そんな光景が遠く彼方にまで繰り広げられています。

風に吹かれる木の葉の囁き。大きく深呼吸をします。風が薫ります。これが真夜中の公園の匂い。

突然、ベンチの端に灯りが点る。

「座ってもよろしいですか?」
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」

声はすれども姿は見えない。

「そろそろこの公園を立ち去ろうと思っていたところでした。」

「わたしは今来たばかりです。」

「そのようですね。あなたの点灯が見えました。」

「ご関心いただきありがとうございます。」

「他の灯りとは少し色合いが違っていますね。」

「色、ですか...」

「自分で自分の色は判りません...
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返信:
石ころ
■公園のベンチ(PDF:1-12)

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