バトンプロジェクト:二坪の眼
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[495]石ころ
by aoki@dwks 
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[2019/06/11(火) 00:30:37]
ひとつの灯りが立ち去った。

真夜中の公園は相変わらずベンチが点滅している。いくつかの灯りが消え、いくつかの灯りが点く。ベンチに座る人、ベンチを立ち去る人。そんな光景が遠く彼方にまで繰り広げられています。わたしのベンチもまた、彼方からは点滅するベンチのひとつとして映るのでしょう。

立ち去った灯りが座っていたベンチの端を見ると、暗がりの中に小さな塊がある。手に取ってみると、石ころだった。

いつからあるのだろう....。

公園の石がベンチの上に置かれている。

いや、公園の石とは限らないのかもしれない。

あの灯りの忘れものだろうか...。

それは今、わたしの掌にある。

石ころは、片手で握ると手の中に隠れてしまうほどの大きさだ。表面はなめらかで丸みを帯びている。最初はひんやりと冷たさがあったが、握っているうちに温もりが出てきた。

わたしの体温が移っていったのだろう。不思議なものだ。冷たい石がわたしとの接触で温もりを帯びてくる。

わたしは冷たくはならない。

わたしはわたしの中で発熱している。

一定の温度を保つように発熱している。

石ころは発熱しない。

周りの熱を吸収する。

周りが冷たければ石ころも冷たく...
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