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by aoki@dwks
2021/07/29(木) 22:44:53
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●「ノコギリアン文庫フェア 2021」を終えて
(会期:2021.5.23 - 7.25 会場:二坪の眼(のこぎり二))
最終日、会場は熱気に満ちていた。今日が見納めとばかり、多くの人たちが詰めかけて・・・
よもやそのようなことはありません。ノコギリヤネの夏は、半端なく暑いのです。気候変動で昔よりも暑くなっているのかもしれませんが、高度経済成長時代の50年前には、蒸し風呂のような工場の中で、汗をぬぐいながら多くの人たちが働いていたのだろう、そんな映像が浮かびました。
それは、郷愁というものではなく、経験していないけれども地域の記憶として個人に蘇るような感覚でしょうか。のこぎり二には、時間の「裂け目」があるのかもしれないと思うことがよくあります。アニメに感化され過ぎかもしれません。
今回のフェアを実質的に取り仕切ってくれた青木さんと二人で歓談していると、二人の高校生が訪ねてきました。夏休みになり、学校の文化祭(体育祭?)の練習に行く前に立ち寄ってくれたそうです。初日にも顔を見せてくれた二人です。どうやら、青木さんの術中にはまり、時折、ここに足を運んでいたようです。ついでながらも、高校生がふと立ち寄る場所として機能したとすれば、それだけでもこのフェアは大成功です。当の主催者は、ほとんど不在でしたけれど。
そのうちの一人は、初日、ノコギリヤネの写真を撮るという決意を語ってくれました。そして、二ヶ月後、彼の手には相棒のようにカメラがしっかりと収まっていました。彼らが、私の年齢になるのは、ほぼ半世紀先のこと。いつか、黒い扉の穴から覗いたことを思い出すことがあるでしょうか。そして、このノコギリヤネでの体験を。
会場に置いたノートに名前を残していただいた方はじめ多くの方々は、隣のノコギリヤネの「ゆたかふぇ」から流れて、訳も分からないまま、黒い扉の穴から「ノコギリヤネ 100 年マップ」を覗かれたことでしょう。それがノコギリヤネの記憶として、個人を超えて、地域の人たちに継承されていくかもしれない、そんなことを考えてしまいます。
さて、現代に生きる私たちは、この暑さを逃れて、「ゆたかふぇ」に涼みに行くとしましょう。
時間を超越する不思議な暗黒扉の覗き穴。
誰もいなくなった会場で、その穴の向こうに見えるのは、「ノコギリヤネ 150 年マップ」かもしれません。そこから見える「オワリ」はどうなっているのでしょう。「オワリ(周縁)からの始まり」となったでしょうか。そして、ノコギリヤネは、まだ残っているでしょうか。
「ノコギリヤネ 100 年マップ」は、のこぎり二に開設した「ノコギリアン・コウバ」に引き続き展示しています。また、機会があれば、ノコギリヤネの変化をあなたの眼で確かめに来ていただければ幸いです。
2021.7.29
ノコギリアン
暗黒扉の向こうに見えるものは・・・
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