バトンプロジェクト:二坪の眼 for PDA

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[494] 複眼に聞く
     aoki@dwks 2019/06/08(土) 23:32:42

[1243] 白髭2
     aoki@dwks 2022/12/25(日) 11:51:22

by  aoki@dwks    2022/12/25(日) 11:51:22

011:公園のベンチ-016-白髭2 https://36way.net/page1/011/11-016.htm 「よろしいかな?」 「え?いつから其処に?」 「私はずっと此処に居ました。あなたにとっては、“今から”になるでしょう。」 「は?からかっているのですか?」 「いえいえ、ご気分を害されたらごめんなさい。」 白髭はつづけた。 五感で感知できる範囲はたかが知れています。 狭い世界を生きているもんです。 五感では感知できない世界が存在します。 それは存在しないに等しい、かもしれません。 それでも、 感知できない世界の存在からなんらかの影響を受けています。 あるいは、 感知できない世界へなんらかの影響を及ぼしています。 それは計算できないし予測もできません。 確かめるすべもありません。 感知できないのですから。 ただ、脳には感覚的にそれを想像すること、 あるいは察知する能力が備わっています。 それは感知できる範囲で表わすことができるものではありません。 言葉でもないし、絵でもないし、造形物でもない。 そのいずれでもない感覚は単なる波のようなものでしょう。 常に振動していて留まることはありません。 カタチとして捕まえることはできないモノです。 そんな存在が在るということ、 そんな世界の中に我々が居るということ、 それを知ることが、 今在る自身を受け留めることにつながっていくのです。 真夜中の公園は相変わらずベンチが点滅している。いくつかの灯りが消え、いくつかの灯りが点く。ベンチに座る人、ベンチを立ち去る人。そんな光景が遠く彼方にまで繰り広げられています。わたしのベンチもまた、彼方からは点滅するベンチのひとつとして映るのでしょう。 そして、白髭は消えた。

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