バトンプロジェクト:二坪の眼
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[1103]気袋3「交換」
by aoki@dwks 
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[2021/01/20(水) 13:06:37]
「座ってもええかな?」老婆の声がした。涙も出尽くしたところだった。

「どうぞ。」

「ありがとさんね。」老婆はそう言ってベンチに腰を下ろした。

「その気袋の主はあんたのことを知っておったぞ。」

「わたしを?ですか?」

「そうじゃ。この公園であんたと話した、と言っておった。」

「え?誰だろう?」

「あんたと話してこの公園を立ち去った、と言っておった。」

「あぁ...あの人、かなぁ...。でも、姿は見えなかった。灯りだけの人、声だけの人、でした。この公園に来て間もなくの出来事でした。」

「たぶん、その御人じゃな。」

「なんだか難しい話をしていましたよ...。あの人がわたしを見つけて座ったのに、わたしがあの人を見つけたようなことを言う...わたしは、ほとんど聞くだけでしたけどね。」

「はは、出会いなんてそんなモンじゃろて。深く考えんでもええことじゃて。」

「不思議な出来事でしたよ。」

「その不思議がまた返ってきたわけじゃな、わははは。不思議じゃ、不思議じゃ。不思議じゃのぉ。」

「この気袋。涙が溢れました。止まりませんでした。不思議です。」

「自分のチカラではどうにも及ばないことがある。そこに執心しても仕...
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白髭

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